2009/09/01 住吉っさんにお朔日詣りを済ませ、京へ七五三の仕入れに向かいました。 九月になったので、塩澤の単衣に袖を通しました。 でもさすがに羽織は紗羽織、襦袢は麻襦袢を着ました、まだまだ暑いですからね。
問屋では秋冬物を仕入れます。 紬や男の着物を見ました。
太陽の日差しがまだまだ強いのでどうしても明るい色を選んでしまいそうになるのを、、気分を晩秋の気持ちに持って行きます。
ある問屋さんでは、結城紬の老舗「奥順」さんが来ておられて、結城の説明をされていました。 結城と言っても、昔むかしながらの『本結城』から機械の手を借りた「石毛結城紬』まで多種多様、それぞれに持ち味があって、素晴らしいものですが、わけても本結城の、真綿を手で愛情を込めてふうわりと撚りをかけずに、まとめる程度に糸に紡いだものを、長さにして30キロ分(こころやから直線距離にして東大寺までの距離です)無地ならばそれを染めて、絣ならば緻密に糸を糸で括って防染して、それを地機でゆっくりと、根気よく織り上げたものの、得も云われぬ風合いたるや、筆舌に尽しがたいです。
本当に素晴らしい!
ま、下世話な話をすると、価格も筆舌に尽しがたい訳ですが、まぁ僕ならスポーツカーと結城紬とどっちにする?と聞かれれば、そりゃぁ両方ほしいですけれども、選べと云われれば迷う事なく結城ですね。
全て手作業の結城紬を一式、男物ならお対でプリウスからクラウン一台分、女性物ならカローラ一台分程でしょうか、そりゃあベンツほどのものもございますが。 間違いなく三代百年以上持ちますからね、ベンツは百年乗れない訳ですから、ま、何だか例えが滅茶苦茶ですが、糸へんに携わる人間としては、「いつかは本結城」ですねぇ。
いわゆる機械織の「石毛結城紬」を偽物と云うセールストークをなさるお店もあるようですが、洒落着としてのクオリティーは同価格の洋服よりも(ちなみにビトンのバック1コくらいです)ずっといいと思います。
これから着物にイイ季節がやってきます。 ビトンを買うなら石毛結城、車を買うなら本結城。 何だか選挙演説みたいですが、そんな贅沢も豊かで楽しいものですよ。 |